レッスンやカウンセリングで「食べてくれない」「食が細い」という悩みを聞くことがあります。

一概に「食べてくれない」「食が細い」と表現されがちだけれど、その実態はさまざま。
猫ほどではないけれど食にシビアなコ。
そもそもあまり食に興味がないコ。
自分の適量を理解して食べる量をコントロールするコ。
そのほか、犬種傾向や性格、年齢──パピーはごはんを食べることよりも遊んでしまう時期があったり、シニアになって食の好みに偏りがでたり──が関係することもあります。
犬は一般的に、香りの弱いものより、香りが立つものに興味を示しやすい動物。
ドッグフードやおやつのジャーキーを思い出してみるとわかりやすいけれど、パッケージを開けた際に香りがたつものが多いのがその証拠。
特にドライフードは食いつきを良くするために、最終工程でオイルコーティングされているものが多いです。
だから、食べないときは「食べる気がない」のではなく、香りの感じ方や食べやすさが変わっている可能性もあります。
もちろん、シンプルにカラダのどこかに不調があって「食べない」選択をしていることもあり得るので、「食べない」以外にいつもと違うところがないか、確認することも重要。
そして、香り以前の問題として、食べられる食材が少ないコもいます。
重度の食物アレルギーがあるなら仕方がないけれど、そうでない場合は、まず食べられるものを増やすことが先決。
飼い主さんの「ウチのコが食べられるものがない」という思い込みや「与えたことがないものは怖い」という思いで、特定のものしか与えていない、ということも多かったりします。
その場合は「食べられるものがない」のではなく、「食べられるものの経験が少ない」だけということも少なくありません。
また、同じものがずっと続くと、わたしたちヒトと同様に犬も飽きてしまう。
そうすると「食べたい」欲が少なくなってしまって、食べなくなる…といったことも起こりがちに。
食べることは生きるためだけではなく、犬たちにとって大きな楽しみのひとつだったりします。
だからこそ、「これしか食べられない」状態ではなく、食べられるものの幅を少しずつ広げておくことが大切だと考えています。
そして、食べられる食材が増えると、ウチのコに合わせた工夫の選択肢も増えます。
サイズを変えてみる。
調理法を変えてみる。
与え方を変えてみる。
何が「食べたい」につながるのか。
何が食べやすさにつながるのか。
それは、そのコそのコで違います。
ちょっと手間はかかるけれど、ウチのコが「これなら食べる」と喜ぶものを増やしていくことが、犬にとっても飼い主さんにとってもベストだと考えます。
そのコに合わせてできる工夫
食べない理由はいろいろありますが、そのコに合わせて試せる工夫もいくつかあります。
たとえば、
- きなこや粉チーズ、すりごまをまぶしてみる
- 肉野菜炒めの形式にする
- 一口サイズのハンバーグや肉団子にする
- ブレンダーやフードプロセッサーにかける
肉団子やハンバーグは、お薬を飲んでくれない時(中に仕込む)や野菜が入ってるとそれだけはじいてしまうような場合にも使えます。
(それでも判定が厳しいコは、悲しいかな、食べてくれない時もある)
ブレンダーやフードプロセッサーにかける方法は、シニアになって固形物の形だとうまく飲み込みができない場合や、胃腸が弱っていて消化吸収がうまくできてないときにも使える方法です。
これが正解というものはなく、ウチのコが食べやすい方法を見つけるための工夫として考えてください。
実際に、我が家の15歳シニアが食べムラを起こしたときにも、体調や本犬の意欲に合わせて、粉チーズだったり、ヒトごはんで使っている出汁ブレンドだったり、ヨーグルトだったりを、その時々で使い分けていました。
ただ、こうした食べない時のトッピングは、ずっと続けていると慣れてしまって効果が半減。
あるいは、トッピングがないとそもそもごはんを食べてくれない事態になりやすい。
そのため、食べムラがおちついて、いつも通りに食べてくれるようになったら、トッピングは一旦やめるのがベターです。
また、脂質の多い生ヨーグルトやチーズは摂りすぎると内臓に負担がかかります。
今、ウチのコにはそれが必要なのかをよく考えて、取り入れるようにしてください。
食べない理由はひとつではなく、年齢や体質、食べ方の好みなど、いくつもの要素が重なっています。
だから、「食べないときは○○すればいい」という一つの正解があるわけではありません。
そのコにとって、今は何が食べやすいのか。
何なら食べたいと思えるのか。
そして、今のカラダに必要なのは何なのか。
ごはんケアでは、「何を食べさせるか」ではなく、「ウチのコには何が合うのか」を見つけていくための見方や考え方を伝えています。
